■事務所便り(2010年) 2010年10月29日12:07

板倉会計事務所便り 2010年10月号

今月のひとこと

いつも弊事務所とお付き合い下さり、ありがとうございます。
最近日経新聞の記事でエッと思ったのが、ロシアの資源の権益を確保したい日本の商社向けにロシア側が提示した条件が、「日本の商社が持つ別の権益の一部を譲ること」でした。たまたま読んだだけなので正確に理解しているかどうか怪しいですが、ざっくり言って、別の権益を出したらこの権益あげるよ、という内容だったと思います。

この業界はこういう取引が普通なのかもしれませんが、素人目には違和感がありました。普通は権益を押さえる時は、お金で買うものだと思います。おそらくはこういう場合は、国際通貨である米ドルとかで買うのではないでしょうか。でも今回の提示はお金ではなく、別の権益という現物を要求しています。要は、この取引は物々交換じゃないでしょうか。

このような物々交換が一般化してくると、「物」を持っていない国や企業は応じることはできません。今回提示された日本の商社は既にお金で買った外国の権益を持っているからこそ、このような交渉に応じることができますが、仮にお金しか持っていなかったら交渉すらできないと思います。

つまりなにが言いたいかと言いますと、お金の価値が既に下がっているんではないでしょうか?例えば、米ドルをもらってもそのうち米ドル自体の価値が下がるかもしれないから、この権益を売るならば別の権益という資源をもらわないと怖くて売れないよ、というような発想で考えているとか。

デフレ社会ではモノよりもお金の方が将来的に価値は高いですが、国際的に大きな通貨不安が起きた場合にはインフレが起こりお金よりもモノの方が価値が高くなります。このような動きが日経の一面に出てくるようだと、今のお金が万能ではない時代というのも案外絵空事ではないのかなという気がしました。

香港・中国 豆情報 ~ シグナル8(エイト)

ほとんどの人はここしか読んでないようですので、今月は間取りを変えてみました。

香港は沖縄よりもずっと南西に向かって台湾を越した先にあります。そんな南の方で、この季節には避けられない自然現象と言えば、、、そう、台風です。

台風の詳しいことはよく分かりませんが、台風というのは南の海上で発生して海上でどんどん大きくなりながら北上し、どこかに上陸して大暴れして消滅するもんですよね。日本だと日本に上陸する台風だけを天気予報でやってますが、その他にも韓国に行ったり中国に行ったりする台風もあるらしく、香港にも年に4,5回くらい台風がやってきます。

香港の気象庁では、香港に上陸もしくは近づく台風の香港への影響をシグナルいくつ、という形で表現し、シグナル1以上は必ずどのテレビでも表示されます。シグナルは1が一番弱く、2、3と強くなり、なぜか間が飛んで8,9という順になっています。なんで4から7がないのかは、誰も気にしていません。

この台風情報ですが、香港人はみんな気になってしょうがないらしく、台風が近づいてくると仕事中も台風の話題でもちきりです。なぜかというと、シグナル8が発令されると、全ての公共機関がストップとなり、会社もほとんど休みになるからです。法律上は休みにしなければならないというルールはないのですが、慣行的にどの会社もシグナル8が発令されたら従業員に帰宅許可を与えなければならないようになっており、従業員はその瞬間に嬉々として帰宅し始めます。どの会社もそうですから、シグナル8が発令された後は、電車・バス等の公共機関は本数がほぼゼロになり、ほとんどのオフィス・お店は店じまいしますので、家で過ごすか、ここぞとばかりに営業している冴えない飲食店で過ごすかしかありません。

では香港の機能がほぼ全てストップするシグナル8が発令されるレベルの台風はどんだけのものなのかといえば、これがまたはっきり言ってたいした被害はありません。私も毎年1回はシグナル8を経験していますが、よくこんなんで休みにするなというレベルの台風ばかり。気象庁までみんながグルで、休みたいだけなんじゃないかと思うくらいです。まあ、でも、味わってみると確かにうれしいです、コレ。

去年はシグナル8が発動された朝、電車のホームで呆然としている外国人観光客を何組も見ました。何も知らずにひとけの無い香港の街に出たら、そりゃあ何事かと思うでしょうね。事情を分かったとしても観光もショッピングもまともな食事もできませんから、はっきり言って観光ならば最初からこの時期は避けるのが無難です。香港に旅行するなら、気候のいい11月か12月がおススメです。(板倉聡)