■事務所便り(2010年) 2010年10月05日12:09

板倉会計事務所便り 2010年9月号

今月のひとこと

当事務所への日頃のご愛顧誠にありがとうございます。円高状態が長いこと続いていますね。高いところで安定してしまってきているので、日本経済への影響がかなり大きくなってきたと思います。

輸出産業は言うまでもなく、この円高で大ダメージです。円で支払ってドルやユーロで回収する典型的な日本の輸出企業のビジネスモデルでは、円に換算した収入が減少するわけですから、当然に以前より利益が減ってしまいます。売価の相場は海外市場においてドル建てやユーロ建てで決まってしまう訳ですから、売上の方はまず円高抵抗力はありません。円高でも利益を確保する仕組みを作るためには、支払の方もドル建てやユーロ建てにするしかないのです。でも日本に工場がある以上は、原材料の仕入れはともかく加工賃や賃金は円建ての支払になりますから、これでは円高の場合は減益を受け入れるしかありませんので、円高が続く時期はリスクを取って工場の日本国外移転という話が出てくることになります。

ただし、円安になればもちろん逆の動きとなります。数年前の1ドル120円台で推移していた円安水準の時期は、海外工場の日本国内回帰という動きも活発になりました。日本で製造して利益が出る為替水準であるのならば、日本企業にとって管理しやすい日本に工場があった方が当然メリットあるからです。

今後も円高が続くとみれば、遅かれ早かれ海外にも工場を持たなければ国際競争力を保てないという危機感がでてきますし、円高一時的なものとみれば、海外に多額の投資をして勝負を賭けるよりはこの時期を国内のコストダウン等でなんとかしのぐしかありません。しかし、為替が今後どう動くは誰にも分からないので、こういう予測に正解なんてないのです。このように為替は非常に厄介な代物です。ただし、為替は固定ではなく変動するもの、ということだけは間違いないわけですから、どちらに転んでも生き残れるようにするためにはある程度拠点を分散することは必要だと思います。

中小同族会社株式の相続税の納税猶予制度

平成20年10月以降、中小同族会社の相続の場合、一定の要件を満たすことによって、その相続税の80%相当分が納税猶予されるという制度ができました。中小同族会社の株式に相当の価値があって相続税額が多額になったとしても、事業を安定継続する以上はその株式を第三者に売却するわけにもいかないので、その相続税の支払原資が無く相続税が払えない、という中小同族企業オーナーの声に対応して税制改正されたものです。

ところが、実際に出来た現行の制度は、聞こえはいいものの、以下のリスクがあるため実際には使えない、と当事務所では考えており、お勧めはしていません。

*あくまで納税猶予であって、免除ではない。納税猶予が取り消されると、延滞税とともに納税必要となる。
*従業員数が相続開始時の80%未満になった等の事実があった場合、納税猶予は取り消される。
*少なくとも5年間は、代表者継続要件・持株要件・雇用維持要件を満たさなければならない。
*5年経過後でも、勝手に解散や株式売却できない。その時点で納税猶予が取り消される。
*最終的に免除となるためには、後継者が死亡するか会社が破産するしかない。

香港・中国 豆情報 ~ 喫煙者は要注意 : 香港へのタバコ持ち込みは19本のみ!

昨今は日本も禁煙化の流れが着実にできていますが、香港は日本以上に強硬的に禁煙化政策を進めています。

2年ほど前から、BAR等以外の全ての屋内店舗では喫煙できないルールになり、レストランは完全禁煙になりました。これは分煙もダメで、あくまで屋内ではタバコは吸ってはいけないというルールです。従ってタバコを吸いたい人は、路上の灰皿のところに行って吸わなければなりません。

去年からはさらに、BAR等の例外も全て撤廃されて、屋内は完全禁煙となりました。と時をほぼ同じくして、タバコの免税持ち込み範囲が3箱に制限されました。免税店だとカートン(10箱入り)単位で販売しているのに、3箱だけなんて残りはどうすりゃいいの?との嘆き声がよく聞かれたのも今は昔。今年の8月1日からは、なんと19本しか免税で持ち込めないことになりました。1箱は20本入りですから、1本吸った状態の今まさに使用中の箱のみOK、つまり免税持ち込みはもう認めないということですね。さらにタバコ税も高く、円高の今で換算しても1箱4、5百円はします。

まさに喫煙を続けるには過酷な環境ですが、禁煙なんて到底無理!という方はその先の中国やマカオに行きましょう。こちらはまだかつての日本のような喫煙者天国です。

とはいえ、禁煙化は世界的な流れですから、いずれはどの国でも喫煙者は肩身が狭くなるんでしょうね。(板倉聡)