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事業承継税制
平成21年度税制改正大綱~事業承継税制
- 2009-01-16 (金)
- 国内税務
この税制改正大綱が出る以前に明らかになっていた事業承継税制については、以下のようなネックがあるので全く期待できない、というようなことを当ブログで書きました。
(事業承継税制の制度上のネック – 税制改正大綱前)
1.納税猶予であって納税免除ではない
2.生前贈与には適用できない
3.経産省や中小企業庁、裁判所や税務署など、手続が煩雑
今回、平成21年税制改正大綱では、この根本的な3点について、以下のようにかなり改善されており、使い勝手は当初案より良くなったように思います。
(事業承継税制の制度上のネック – 税制改正大綱後)
1.納税猶予であって納税免除ではない
=>納税免除の要件を拡大することにより、使い勝手向上
・ 納税猶予されている者の死亡時だけでなく、倒産した場合等は免除されます。
=>これで、当初懸念していた「倒産した場合にダブルパンチで納税義務が生じる」という事態は回避されましたので、制度的に改善されたと思います。
=>ただし、もう一つの懸念である「後継者は死亡時まで会社を身内以外に譲れない」という事態は已然としてそのままです。一定の年数で納税免除とならない限り、後継者とその子孫に足枷を残すことになりかねません。
2.生前贈与には適用できない
=>解消!生前贈与にも適用できるようになりました。
=>実際は事業承継というものは生前にやってこそ意味があるものですし、相続時積算課税を使わなくても生前贈与・納税猶予できる、というのは魅力的です。従って、このネックは無くなりました。
3.経産省や中小企業庁、裁判所や税務署など、手続が煩雑
=>ここはどうにもならない問題かと思います。やはり、関係してくる監督官庁が多ければ多いほど、どこかの認可等で引っかかるリスクは増えてしまいます。会社にそのリスクを冒させるのではなく、例えば中小企業庁や税務署が窓口となって、会社との窓口を一本化した上で内部調整することによって対応してもらいたいものです。
=>ただ、1.さえ解消されればメリットは大きいですから、ここには目をつぶってもやる価値はあると思います。
ということで、徐々に「使い勝手」の視点から検討されていることは明らかで、この制度を広く使われるようにして成功させたい、という制度設計者の思いが伝わってくいるように思います。
ただ、個人的には「納税猶予」ではなくて「納税免除」にならない限り、お客さんに勧めるつもりはありません。
実際のところ、「納税猶予」でも「納税免除」でも、国からしたら税収が入らないのは同じでしょう?
事業承継税制を前に進めた時点で、この部分の税収はあきらめたことに等しいのです。
税収をあきらめる代わりにそれだけの経済効果を期待するという、政策的判断によるものです。
それなのになぜ、税収への未練タラタラで「納税猶予」にこだわるのか?
租税回避を防ぎたいのなら、適用要件をより厳しくすれば済むだけのことじゃないですか。
制度設計者側で最後の譲歩ができるかどうか、そこにこの制度の普及がかかっていると思います。
事業承継税制
- 2008-11-28 (金)
- 相続対策
もうウチの事務所でも、年末調整なんかの準備が始まってます。
もうそんな時期なんですね、、、1年は早いものです。
年の瀬を感じる頃は、平成21年税制改正の原案が明らかになる時期でもあります。
今年を振り返れば、事業承継税制の概要把握が税理士にとっての大きなテーマだったと思います。
なにしろ最初は、「中小企業の株式の相続税評価額が8割も減税になる」、との触れ込みだったのですから、中小企業のオーナーや税理士が興味シンシンとなるのは当然のことです。
私もご多分に漏れずその中の一人でして、数少ない情報の収集と使い方のイメトレにかなり時間を割きました。
本来ならば平成21年税制改正の原案が公表されるこの時期は、事業承継税制関連の部分を最も楽しみにしているはずでしたが、今はあまりそのような気は起きません。
なぜならば、実際に使うには以下の3点が大きなネックとなると想定しているのですが、いろいろ話を聞く限り、どうも今年度の税制改正で解決される期待が薄いからです。
1.納税猶予であって納税免除ではない
=>5年間は会社を維持、だとか満たすべき条件はいろいろありますが、それは単なる納税猶予の要件であって、納税免除となるのは「死亡時等」のみだそうです。
後継者は「死亡時等」の時まで納税義務を抱え込む訳です。農地ならばこれでいいかもしれません。農地は無くなりませんから。ただし、会社はずっと存続するとは限りません。100年続けば相当に立派な会社です。経営が苦しくなって清算するときに、納税猶予分が延滞税かかってのしかかってきたのではたまりませんね。
また、後継者及びその後継者は、引き継いだ会社を手放すことができません。手放した時点で納税猶予された分が延滞税かかってのしかかってくるからです。後継者が晩年になり、身内で誰もその後継者がいない場合というケースも十分に想定されますが、「死亡時等」まで納税免除されないのでは、この会社や子孫に足枷を残すことになりませんか?
従って、せめて5年後に納税免除とならない限り、私は怖くて誰にも勧められません。
2.生前贈与には適用できない
=>あくまで相続時に適用となるようなので、生前贈与にはそのままでは適用できないと思います。おそらく生前贈与の場合には、相続時積算課税と組み合わせて使うことになるのでしょう。
ただし、相続時積算課税を使うと、その性質上、株式だけにとどまらず他の相続財産も関係してきます。相続時積算課税は実際に相続税がかかる人からすれば、どちらかと言えばデメリットの方が大きいのではないでしょうか?
また、一度適用すると後戻りできないので、いつまた改正されるかも分からない不安定な新法のために相続時積算課税を使うのはかなりリスクがあると思います。
従って、暦年課税でも生前贈与できるようにしてくれた方が使いやすくなるはずだと思います。
3.経産省や中小企業庁、裁判所や税務署など、手続が煩雑
=>租税回避を防ぎたいという趣旨は分かりますが、どこかの管轄で必要な認可が得られないと納税猶予された分が延滞税かかってのしかかってきます。
事業継続の認定なんて白か黒かなんてハッキリ線が引けるわけはありません。絶対にグレーな部分が存在することになるのは間違いないのです。
解釈の部分が多ければ多いほど、納税猶予者の立場は不安定になるのです。一つでも要件を満たさなくなった時点で多額の納税義務が発生するというのでは、とても勧められる代物ではありません。
つまり、できるだけ早い時点で納税免除となって不安定な立場から回復出来ない限り、リスクが大きすぎて実際には使えません。そもそも金額のおっきな話なんですから!
というように、このままのイメージで成立したら、5年後、10年後にはあちこちでトラブルが続発するのが今から目に浮かびます。
立法者には当初の趣旨を十分に検討してもらって、せっかくここまで話は進んできたのですから、「実際に使える制度」として成立させて欲しいと思っています。
このままでは中小企業庁などに無駄な仕事とトラブルを増やすだけの効果しかないんじゃないですか。
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