「景気回復には消費増税」???
という衝撃的なタイトルの記事が産経新聞にありました。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/econpolicy/220813/
学者の伊藤元重氏という方がつい先頃講演された内容だそうです。
この記事によれば、氏の根拠は、
①充実した社会保障で国民の安心を実現
②消費税が上がる前の駆け込み需要を創出
のようです。
私は素直なんで、確かに短期的には景気回復効果があるのかな、と思いました。
駆け込み需要ってのは確実にありますからね。
また、消費税が増税されれば一人一人の可処分所得は減りますが、その分医療や介護関係では雇用が生まれるわけで、要は国全体でワークシェアリングするようなもんじゃないでしょうか。
さらに穿った見方をすれば、個人がお金持ってると堅実な日本人ならば必要なものしか買わずにできるだけ貯蓄しますが、国にお金を持たせれば、役に立とうが立つまいが確実にジャンジャカ使ってくれますので、普通ならば内需刺激策としても期待できるでしょう。
ちなみに少し話は逸れますが、国が無駄遣いするのは腹立つ一方、逆から見ればその無駄に遣ったお金のおかげで潤っている日本人も絶対にいる訳です。つまり、日本経済全体からすれば、「国の無駄を排除」することと景気との間には、ほとんど相関関係はないのでは?と思います。むしろ国の無駄を削ってその分借金返済に充てたら、内需が減少して景気が悪くなるんじゃないでしょうか?
このあたりが最近の報道などで、個人的にしっくりきてないところです。
話は戻りますが、結局は国が消費税増税って言ってるのは、財源が足りないことが根本的な理由だと思います。
消費税は目的税にする、とかいろいろ言ってますが、その分一般財源の負担が軽くなるわけで、その軽くなった分は膨れあがった国債の返済にまわるわけです。
そう考えれば、今回の場合は先に述べた一般論と大違いで、国にお金を持たせても使ってくれません。
これでは、消費税増税の後は、個人の可処分所得は減る一方、国も使わずに借金返済にまわす訳ですから、借金がなくなるまでは内需は減少してしまうでしょう。
つまり、増税前は景気が一時的に回復する一方、増税後は景気が悪くなる、ということになるんじゃないでしょうか?
衝撃的なタイトルですが、結論は当たり前のものにしかなりません。
問題は、景気と消費税増の話を結びつけることに無理があるのであって、「消費税増は過去に使い過ぎて国債が増えすぎてしまい首が廻らなくなったので、現世代以降に負担してもらうしかないから、宜しく御願いします」と潔く認めてもらった方が、どうせ払うならまだスッキリすると思うのは私だけでしょうか?
ま、増税の話は気分が悪いので、ちょっと噛みついてみました。
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