■事務所便り(2010年) 2010年11月30日12:05

板倉会計事務所便り 2010年11月号

今月のひとこと

いつも弊事務所とお付き合い下さり、ありがとうございます。

さて、毎年恒例の税制改正の時期に差しかかってまいりました。毎年12月に税制改正大綱が閣議決定され、それに基づいて翌年3月に法改正される、というのが通常の税制改正の流れですので、10月も過ぎれば水面下で動いていた税制改正案等がニュースとして取り上げられることが増えてくるのです。

外からですと日経新聞等くらいしか頼りになりませんが、「法人税率5%下げ」については度々ニュースになり、取り上げられ方も大きいことから、現実味は結構ありそうです。経営者からすれば、単に下がるだけでも有り難いことですが、税率が下がるということは、課税の繰り延べの効果が大きくなるということでもあります。

課税の繰り延べとは、今期1,000万円費用として計上できるけれども、5年後に1,000万円利益として計上されるような現象で、条件を満たせば保険等でこのような効果を享受することができます。

つまり、なにもしなければ今期1,000万円の利益が出そうな場合、実効税率40%とすれば今期の納税額は400万円となります。ここで、上述のような課税の繰り延べ効果のある保険にでも加入することができた場合、今年の利益はゼロになり納税額もゼロ、5年後に1,000万円の利益が出るのでその時点で400万円を納税するということになります。つまり、税金の納税を猶予してもらっているのと同じことなので、このような効果を課税の繰り延べというのです。

ところが5年後の実効税率が35%だった場合、納税を猶予してもらった上に、5年後には350万円しか納税をしなくていいわけですから、さらに50万円分税金が減ったことになるのです。つまり、なにか課税の繰り延べの効果を受けられる手段があるのであれば、それを利用するには非常にいい環境となるのです。

その手段としては、特別償却や保険の加入等がありますが、当然ながら税務署がこんな虫のいい方法を無条件で認めるわけもなく、簡単には課税の繰り延べはできないような制度になっています。ただ可能性としてはありますので、ご興味をお持ちの方は是非弊事務所まで、ご相談をお待ちしています。

税務調査 ~ 任意調査と強制捜査

ドラマでおなじみの「マルサ」は裁判所から令状を取った強制調査ですので、こういう場合には拒否する権利はありませんが、それ以外の通常の我々の対応する調査は、任意調査です。ただ「任意調査」といっても一体どういうものなのかについても、なじみがないと思います。そこで、基本的なところだけを知っておくだけでも、不意の調査にもきっと役立つと思います。

税務署は、「必要があるときには、納税義務者等に質問し、又は納税義務者等の財産若しくはその財産に関する帳簿書類その他の物件を検査することができる。」という、いわゆる質問検査権を持っています。一方、納税義務者は、質問への回答拒否や検査拒否をする権利は無く、いわゆる調査受忍義務を負っています。

つまり、税務署が必要あるときには、納税義務者等は、税務署の質問に回答し、調査に協力する義務があるということです。従って、「調査を受けたくないから対応しない」と言う権利はありません。また、強制調査と違って黙秘権も無いので、仮に自分に不利なことであろうと、質問への回答や調査を拒否することはできず、拒否した場合には罰則まであります。逆に強制的な質問検査権はありませんから、「協力はもちろんするが、○○○という事情があるのでこの日は対応できません。いついつならば対応できますので、その日に変更願えますか?」と言う権利はある、ということです。これは突然来た場合でも、強制調査ではない限り同じことですので、商売上その日がどうしても都合が悪い場合には、遠慮せずにそのことを税務署の担当官に伝えてみるべきです。もっとも、その前に弊事務所まですぐお電話をしていただき、税理士と連絡が取れるまでは調査を待っていただく、というのがベストの対応となります。

香港・中国 豆情報 ~ 縁起の良い数字

前回は台風のシグナル8について書きましたが、今回は8つながりで8という数字について。香港では、8が大変縁起の良い数字とされていて、至る所に8の数字が出てきます。車のナンバーとか、口座番号とか。まあ香港ほどではないにしろ、日本でも8は縁起の良い数字ですよね。日本だとその理由は、八の漢字が末広がりだから・・・と説明されますが、香港人に聞いてみると由来は違うそうです。

香港人曰く、8の数字は広東語で発音すると「バッ」なのですが、この発音がお金を意味する「発」の発音「ファッ」に似てるから、だそうです。日本でもだいたい縁起ものは発音が同じだからという発想ですが、これもそういう連想からのようです。ただ、「バッ」と「ファッ」が似てるというのも若干苦しいような気もするような・・・。まあ、縁起がいい=お金持ちになる、という文化が大前提にあってこその連想のような気がします。(板倉聡)