■事務所便り(2010年) 2010年06月30日12:16

板倉会計事務所便り 2010年6月号

今月のひとこと

当事務所への日頃のご愛顧誠にありがとうございます。最近は「景気が底を打ち、緩やかな回復に向かっている」というような論調の経済ニュースや各種統計等の公表を目にする機会が増えてきましたね。御社ではどのようにお感じでしょうか?実際にそのような実感があるでしょうか?

私個人の感覚では、確かに製造業については年明けから少しずつ受注が戻ってきているところが多いように感じます。ただ日本の主産業である高機能品の輸出という観点からみれば、①円高水準での為替安定化や②中国や韓国が輸出好調なのに対して日本が出遅れていること、③世界的に高付加価値品の回復は未だ低調、といったところを考えれば、以前の水準にまで戻ることはないと心づもりしておいた方がいいと思います。一方、業種によって急に受注が戻っているところもでてきていますので、昨年までのようにどの業種も全滅という状況ではなくなってきており、販路拡大の余地はでてきたと思います。

一方、飲食を含むサービス業については、デフレ傾向に変わりはないと思われますので、基本方針としては「より安く、よりいいものを」という方向性には逆らえないでしょう。ただ、基本的に生活必需品の総需要はそれほど変わるものではない、という点は常に意識しておく必要があると思います。例えば、外食需要はここ数年基本的に減少方向ですが、人が食べる量なんてほとんど変化するものではありません。つまり外食が減った分、どこか売上が増えてる商売があるのでは?とか、お客さんのニーズが変わってきているのでは?、という発想も必要になるかもしれませんね。

グループ会社がある会社は要注意!

今年の10月1日から「グループ法人税制」が施行されます。これにより、100%グループ内の法人間の取引については、法人税法上、以下のような取り扱いになることになりました。

(1)資産の譲渡等 : 譲渡損益を繰り延べて、グループ外部への譲渡が実現した時点で損益を認識する。
注) 対象の資産は、1,000万円以上の固定資産、有価証券、金銭債権、繰延資産
(2)寄附金 : 支出法人では損金算入しない一方、受領法人でも益金算入されない。

他にも関連して改正されているのですが、この2点は特に影響が大きいと思います。つまり、これまではグループ法人間で不動産等を売買して、それぞれの法人で売買損益を計上することはあったと思いますが、今後はそのような損益については税務上は認めないよ、ということになるわけです。また、これまではグループ法人へ寄附金を行うと、寄附金は損金算入されない一方、もらった側では益金算入されていた訳ですから、よほどの個別事情がない限り、グループ法人間で寄附をすることはできませんでした。しかし今後はグループ法人間の寄附によって税金が発生することはなくなりましたから、利益調整として寄附を使うことが可能です。

また、そもそも「100%グループ」の定義は?というところも重要です。100%グループとは、完全支配関係がある法人のことを指しますので、直接的もしくは間接的に株式を全て所有している場合が該当します。また、個人の範囲は同族関係者と同様の定義となっていますので、ある個人+6親等以内の血族+配偶者+3親等以内の親族は、1つのグループとみなされます。つまり、自分で100%持っていなくても、家族などに株を分けている場合には、自分で100%持っている会社とみなされることになります。

これは全く新しい考え方の税制ですので、現時点では専門家でも解釈に悩む点も多々あります。私どもの事務所では、上記のような基本理解に加え適時新しい情報のアップデートをして最適な提案ができるようにしてまいりますので、ご不明な点につきましてはなんでも担当者までお伝えください。

香港・中国 豆情報 ~ 香港の祝日

香港の祝日は、昔からの中国伝統の休日とキリスト教流の祝日のいいとこ取りです。旧正月や清明節、国慶節、重陽節あたりは中国由来ですし、イースターやクリスマスなどは英国由来です。

じゃ、香港は休日は多いのでは?と思いましたが、数えてみたら日本と祝日の数はほぼ同じでした。日本も中国や欧米から考え方を取り入れるのが得意なイメージがありますが、日本の祝日をあらためてみてみると、中国由来のものも欧米由来のものもなく、完全に独自路線でした。

なるほど道理で祝日でも仕事の連絡が絶えないわけだと、妙に納得しました。(板倉聡)