■国際税務 2008年12月10日15:53

居住者・非居住者の定義

どうしても海外と絡む仕事をされている方の場合、個人所得税はどの国でどのように納めれば良いのか、といった事に悩むことになると思います。

と言いますのも、どの国でも「居住者」と「非居住者」に対する課税対象や税率が異なっている上に、国ごとに「居住者」と「非居住者」の定義が異なっていることが多く、さらに租税条約が締結されている場合はそちらが優先される、といったことから、税法の専門家でもない限り容易に理解できない仕組みになっているからです。

例えば、私のように日本と香港を半分ずつというような生活をしている場合、日本と香港は租税条約を締結していませんので、それぞれの国の国内法の定義によって、「居住者」と「非居住者」の判定を行うことになります。従って、どっちの国からも「居住者」と判断されることは有り得ます。

また仮に私が日本と中国を半分ずつというような生活をしている場合、日本と中国は租税条約を締結していますので、租税条約により「居住者」と「非居住者」の判定を行うことになります。ただし、この租税条約は古いものでして、内容をよく見ると、双方の国の税務当局によって「協議」して判断することになっています。よっぽどの所得でも無い限り、我々一個人の二重課税排除のために双方の国の税務当局が「協議」してくれるなんて現実的ではないので、結局自分の身を守るためには、それぞれの国の国内法の定義によって、「居住者」と「非居住者」の判定をしておかなければなりません。

 

それでは、その肝心の日本の国内法では、、「居住者」と「非居住者」の判定はどのように分けているのでしょうか?

税法や判例では、非居住者の要件は、「住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって総合的に判断する」となっており、要は事実認定による個別判断です。

このようなはっきりしない規定のため、国税側と納税者側でしょっちゅう裁判等になっているところでもあります。このことは、少なくとも納税者としては、裁判に勝てるような根拠を持って「居住者」と「非居住者」の判定をした上で納税判断をしておかないと、国税側から思いもよらない処分を受ける可能性があるということです。「そんなの知らなかった」と言ってもまけてくれる訳ではありませんので、放置しておくと結局は自分が痛む可能性があるのです。

また、上記の要件をよく見てください。

滞在日数は直接的に要件となっていないことにご留意ください